あなたの業種、ここに注意!

ここでは、業種や事業場の形態ごとのにおいの特徴に応じて、注意すべきポイントをまとめています。例えば飲食店関係の方であれば、食料品関連やサービス業、その他の記述が参考になります。あなたの事業場に関係しそうな項目をチェックしておきましょう。

食料品関連(飲食店・各種食料品店など)

一般に、食料品から出るにおいは良いにおいと受け取られがちですが、近隣で四六時中においを嗅がされている人にとっては悪臭と感じられることもありますし、調理中には短時間ながらかなり強いにおいが出ることがあります。また、原料くずの腐敗から臭気が発生する場合も考えられます。臭気が発生する場所では、フードなどを設置して効率的に臭気を捕集し、脱臭装置に導入するようにしましょう。また、事業場の屋内全体の臭気については、窓などの開放部や出入口から外部に臭気が漏れ出さないように注意しましょう。飲食店や食料品店などの場合、脱臭性能のほかに設置スペースの問題にも注意が必要です。

ペット・畜産関連

ペットや畜産関連の事業場から発生する臭気の主な原因は、動物の糞尿です。事業場敷地内の飼育場所や糞尿の貯留場所から臭気が漏れ出すだけでなく、糞尿を搬送する際にも周辺に臭気を放散しています。また、餌から発生する臭気にも注意が必要です。糞尿のにおいには、アンモニアや硫化水素、低級脂肪酸が多く含まれており、脱臭装置を導入する場合には、これらの物質を効率よく捕集・分解できるものを選ばなければなりません。

製造工場

製造工場では、製造工程の違いや、同様の工程であっても扱う原料や製品の違いによって発生する臭気の成分が大きく異なりますので、まずはその状況を把握する必要があります。また、原料置場・製造工程・製品置場・排水処理施設など、発生源も多くあります。複数の工程からにおいを集合させて脱臭する場合、混合した時点でのにおいの濃度や時間的変動、混合することに対する安全性の確認や適切なダクトワークなどに注意が必要です。短時間しか稼動しないような工程には、個別に脱臭装置を設置したほうがランニングコストを低く抑えられる場合もあります。

溶剤類を排出している工場の場合

溶剤類を対象とした場合、高効率だからといって安易に燃焼法を導入すると、配管の中でガス中の溶剤類に引火する危険性があることを理解しなければなりません。また、触媒燃焼法の場合には、触媒に影響を及ぼす物質の存在に注意が必要です。条件が適切でなければ、加熱によってより刺激臭のある物質に変化することもあります。脱臭装置を選択する前に、脱臭を行いたい排出ガスの性状を的確にメーカーに伝え、問題のないことを確認してください。

飼料・肥料製造工場の場合

飼料・肥料製造工場から発生するガスにはアンモニアやトリメチルアミンが高濃度で含まれていると考えられますので、これらを効率よく捕集・処理できるものを選択する必要があります。また、製造工程はもちろんのこと、原料から製品にいたるまで、あらゆる段階から臭気が発生する可能性があります。このため、製造工程から発生する高濃度臭気用と、原料や製品の保管場所から発生する低濃度臭気用の2種類の対策を講じるなどの工夫が必要です。脱臭装置に導入される排出ガスには、粉塵や水蒸気が多く含まれている場合があり、脱臭装置によってはこれらを除去する前処理が必要となることもあります。

サービス業

サービス業の場合、住民の生活空間に隣接していることが多く、低い濃度の臭気でも悪臭苦情の原因となることがあります。小さな発生源でも確実に捕集し脱臭することに努め、脱臭後の排出ガスが隣接建物に直接当たったりしないように工夫してください。また、室内から漏れ出したにおいが問題となることもあります。換気扇からのにおいの放出にも注意しましょう。脱臭装置の選択時には、音や振動などの影響が近隣に及ばないようなものを選ぶ必要があります。また、特に都市部では、装置の設置スペースに多くの制約がありますので、まずは設置可能スペースの確認をしましょう。集合住宅の1階に事業場を構え、脱臭装置を屋上に設置する場合には、屋上までの配管工事費用やそのためのスペース確保が必要です。

その他

生ごみ処理機や排水処理工程などは、様々な業種において臭気の発生源となる可能性があります。生ごみ処理機については、においの原因物質が多様(バイオ方式の場合はアンモニア濃度が特に高い)で、生ごみの処理状況に応じてにおいの強さが時間とともに変動したり、水分や粉塵が多く発生するものもあります。また、人が常駐しない場所に設置される場合がほとんどですから、ある程度の自動化と安全設計が必要でしょう。排水処理工程については、生活系の汚水と工場の製造工程からの排水では、発生するにおいの原因物質が異なります。排水の種類と臭気が発生する状況を脱臭装置の特性と照らし合わせて、よく検討しましょう。排水処理工程に対応する装置は、各種製品化されています。規模や臭気の強さに応じて適切な装置を選びましょう。